貸出金利の仕組み スプレッドとベースレート

経営コンサルタントのマロンです。

 

今回は貸出金利の仕組みについてご説明したいと思います。

 

銀行にとって貸出業務は収益の柱です。

では、貸出によってどのように収益を上げているのかというと、大きくは下記の2つです。

① 預金でお金を集めて、預金金利に利ザヤを乗せて貸し出している

② 銀行同士でお金を貸し借りして、そこで調達した資金に利ザヤを乗せて貸し出す

 

下の図のように、貸出の基準となる金利を「ベースレート」と言い、

そこに銀行の利益となる部分=「スプレッド」を乗せたものが「貸出金利」となります。


ここでは、貸出金利を「商品の売値」、ベースレートを「商品の仕入れ値」、スプレッドを「利益」と考えればよいでしょう。

 

今回は、この「ベースレート」としてよく用いられる「TIBOR(タイボ)」(と「LIBOR(ライボ)」について簡単に説明します。

 

銀行は預金として貸出しの原資となる資金を調達するほかにも、多数の資金の調達手段を持っています。

その一つが、インターバンク市場で資金を調達してくる、というやり方です。

 

インターバンク市場とは、下の図のように、銀行同士で余剰資金を貸し借りし合う市場のことです。

 

インターバンク市場

細かい話は今回はしませんが、銀行にとって「ただお金を寝かしておく」ことは損失でしかないので、寝ているお金があれば他の銀行に貸してでも利ザヤを稼ごうとします。

一方、最低限保有しておきたい資金というのもあり、外部の銀行からお金を調達したいニーズもあります。

そこで、銀行間で資金を貸し借りする市場が出来上がり、それを「inter bank (インターバンク)市場」と呼びます。

銀行の融資実務においては、このインターバンク市場でお金を調達した際の金利を「ベースレート」(仕入れ値)として、そこに利ザヤ=スプレッドを乗せたものを貸出金利として企業に提示することがよくみられます。

 

上で、「TIBOR」と「LIBOR」という言葉を出しましたが、

・TIBOR=Tokyo Interbank Offerd Rate :東京インターバンク市場の出し手レート

LIBOR=London Interbank Offerd Rate :ロンドンインターバンク市場の出し手レート

のことです。

 

東京インターバンク市場とロンドンインターバンク市場とは、それぞれ東京とロンドンの銀行間でお金をやり取りするマーケットのことです。

ただし、東京とロンドンにそれぞれマーケットが物理的に存在するわけではなく、東京時間とロンドン時間を基準に動いているマーケットをそれぞれ呼び分けているだけです。

なお、LIBORは以前は非常に一般的な指標でしたが、2021年末に公表が停止されました。

「出し手」レートとは、インターバンク市場で、借りたい銀行と貸したい銀行のうち、貸したい銀行の提示レートのことです。

(貸したい銀行は高く貸したい、借りたい銀行は安く借りたい、ということで、貸し手の提示するレート>借り手の提示するレート、となっています。)

ちなみに、円建てのTIBORの利率ですが、8/4時点のものは、3か月もので0.06364%となっています。

TIBORには3か月もののほかに、1週間から12か月ものまであります。

 

では、融資を受ける際に、このTIBORがどのように用いられるかというと、

・ベースレートとして何か月物のTIBORを用いるか決定する

・スプレッドを何%にするか決定する

という流れになります。

 

ここでは、企業と銀行それぞれの融資担当者の間で、交渉が行われて両者が折り合えるレートで契約締結となります。

 

たとえば、3か月ごと利率見直しの変動金利で融資する場合、ベースレートを3か月物のTIBORにしておけば、銀行としては貸し出し時点で東京インターバンクで3か月物のTIBORを借りておけば、スプレッドの分の利ザヤが確定します。

 

よく使われる言いかたとしては、「3T+10BPでDONE」というような表現が飛び交います。

上でTIBORの利率を引用しましたが、小数点5位まであってわかりづらいですね。

そこで、0.01%のことをBP(Basis Point:ベーシスポイント)とすることで、例えば0.17%を17BPという風に分かりやすく表現できるわけです。

 

3Tというのは3MONTHの日本円TIBORのことを俗に指し、上述の通り8/4であれば0.06364%のことを言います。

 

したがって、8/4の3か月ものTIBORをベースレートに使い、スプレッド10BPであれば、

0.6364%+0.10%=0.16364%

で向こう3か月間は貸出(借入)となる、ということです。

「DONE」とは「約定」の意味で、それで契約締結です、ということです。

 

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ブログ開設のご挨拶 経営コンサルタント マロンより

みなさま、はじめまして。

 

このたびはてなブログにてブログを開設しました、

フリーの経営コンサルタントマロンと申します。

 

新卒で銀行に入行してから、いくつかの事業会社を経験しました。

最初が銀行だったので、財務や事務管理部門の立ち上げ/リーダー、

管理部門のマネージャーなどを経験しました。

 

その後、40代で経営コンサルタントとして独立、

今はフリーランス経営コンサルタントとして活動しています。

 

今後は、このブログでは自分のコンサルティングに関する分野や

ビジネスパーソン、学生の方に役立つ記事を書いていこうと

思っています。

 

どうぞよろしくお願いしますね!!

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